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柴石温泉完全ガイド|天皇も癒した、渓谷の秘湯|ゆけむり手帖

この記事のポイント
- 柴石温泉は、平安の昔に天皇も湯治したと伝わる渓谷の秘湯です。
- あつ湯・ぬる湯・露天・蒸し湯まで楽しめる市営「柴石温泉」が中心です。
- 血の池地獄・龍巻地獄とあわせてめぐるのにも便利です。
鉄輪の喧騒を抜け、血の池地獄のほうへ。山あいの道をさらに進むと、柴石川のせせらぎとともに、ひっそりとした一軒の温泉が姿を現します。観光客でにぎわう別府にあって、ここだけは時間がゆっくり流れている——それが柴石(しばせき)温泉です。
派手な温泉街はありません。けれど、千年以上の歴史、渓谷に抱かれた静けさ、そして内湯・露天・蒸し湯まで楽しめる充実の市営温泉が、ここにはあります。「本物の湯治気分を味わいたい」「喧騒を離れて、自然のなかでお湯と向き合いたい」——そんな人にこそ訪れてほしい、別府の奥座敷です。
この記事では、柴石温泉の歴史とお湯の魅力、地獄めぐりとあわせた楽しみ方、アクセスまでをまとめました。知る人ぞ知る渓谷の秘湯へ、ご案内します。
迷わない別府旅。今日は、静けさのなかの一湯へ。
別府八湯ぜんたいの地図をつかみたい方は、こちらもどうぞ。
柴石温泉って、どんなところ?
柴石温泉は、別府の山あい、柴石川のほとりに湧く、静かな温泉地です。鉄輪・明礬とともに、国が療養向けの温泉地として認める「国民保養温泉地」に指定されており、その名湯ぶりは折り紙つきです。
歴史は驚くほど古く、平安時代にさかのぼります。895年に醍醐天皇が、1044年に後冷泉天皇が、病気療養のためにこの地で湯治をしたと伝えられているのです。天皇が遠路はるばる癒しを求めた湯——そう聞くだけで、お湯に浸かる時間がいっそう特別なものに感じられます。「柴石」という名は、江戸時代にこの地で「柴の化石」が見つかったことに由来するとも伝わります。
都の天皇が、はるか九州の地まで湯を求めて足を運んだ。それは、柴石の湯がそれほどまでに“効く湯”として、古くから名を馳せていた証でもあります。交通の不便だった時代に、わざわざこの渓谷の奥まで訪れる価値があると信じられた湯——その物語を知って入ると、一湯の重みが変わってきます。
まわりは緑ゆたかな渓谷で、まさに「秘湯」と呼ぶにふさわしい静けさ。近くには血の池地獄や龍巻地獄といった別府を代表する“地獄”があり、地球のダイナミズムと、静かな名湯の両方を一度に味わえるのも、このエリアならではの魅力です。
かつては、明礬温泉へとつながる森林遊歩道が整備され、自然散策と湯治をあわせて楽しめる温泉地として親しまれてきました(遊歩道は通行できない時期もあるため、訪問時は状況をご確認ください)。鳥の声と川のせせらぎだけが響く渓谷で、ただお湯に身をあずける——観光ではなく“療養”という、温泉本来の楽しみ方が、ここには静かに息づいています。
柴石温泉のお湯——市営「柴石温泉」
柴石温泉エリアの主役は、市営の日帰り温泉「柴石温泉」。歴史ある湯どころでありながら、平成9年(1997年)に「ふれあい・やすらぎ温泉地」として生まれ変わり、施設はきれいに整っています。それでいて料金はとてもリーズナブル。秘湯の風情と、使いやすさを兼ね備えた一湯です。
特筆すべきは、その充実ぶり。男女別の内湯には、温度の違う「あつ湯」と「ぬる湯」の2つの浴槽があり、お好みで選べます。さらに、ぬるめでゆっくり入れる露天風呂、そして別府ならではの「蒸し湯」まで。蒸し湯は床に竹を敷き、その下を約80℃の源泉が流れる本格派で、入ったとたんに全身から汗が噴き出すほどの熱気。これらが追加料金なしで楽しめるのですから、お得感もたっぷりです。家族連れには、バリアフリーの貸切「家族湯」も用意されています。
おすすめの楽しみ方は、まず内湯で体を慣らし、蒸し湯でたっぷり汗をかいたら、ぬるめの露天で渓谷の風を感じながらクールダウン——という流れ。緑を眺めながらの露天は格別で、何度も「あつ湯→蒸し湯→露天」を繰り返すうちに、いつのまにか時間を忘れてしまいます。秘湯でありながら、これほど多彩な湯あみを一か所で楽しめる温泉は、なかなかありません。
お湯は、源泉かけ流し。柴石には複数の源泉があり、わずかに黄褐色がかって、ほんのり金気(かなけ)を感じる、滋味深い湯です。日の差し込む時間には、お湯のなかで指先が青みを帯びて見える、不思議な“光のプリズム”に出会えることも。蒸し湯は、小綺麗な日帰り温泉のミストサウナが裸足で逃げ出すほど熱い、と評する人もいるほどの本格派です。玄関前には飲泉場もあり、川沿いには、かつて多くの人が浴びたという打たせ湯(滝湯)の跡も残ります。お正月にはざぼん(文旦)を浮かべた「ざぼん湯」など、季節の催しが楽しめるのも、地元に愛される柴石温泉ならでは。地元の人と露天で語らいながらお湯に浸かれば、心まで温まる、忘れられないひとときになります。
※料金・営業時間・休業日(清掃時間を含む)は変わることがあります。お出かけ前に最新情報をご確認ください。
→ 共同浴場をはじめて使う前に 共同浴場マナーガイド
→ 家族でゆっくり貸切で楽しむなら 家族風呂ガイド
地獄めぐりとあわせて——血の池地獄・龍巻地獄
柴石温泉のすぐ近くには、別府を代表する“地獄”が2つあります。「観る温泉」とあわせて楽しむのが、このエリアの王道です。
ひとつは、真っ赤な熱泥が煮えたぎる「血の池地獄」。その名のとおり、地の底から噴き出す赤い池は迫力満点で、別府でも指折りのインパクトを誇ります。日本でもっとも古い天然の地獄ともいわれ、ここで採れる赤い泥から作られる「血の池軟膏」は、昔ながらのお土産としても親しまれています。もうひとつは「龍巻地獄」。一定の間隔で熱湯が勢いよく噴き上がる間欠泉で、自然のリズムが生み出すダイナミックな噴出は、思わず見入ってしまう迫力です。どちらも国の名勝に指定された、別府を代表する見どころです。
“地獄”で地球の鼓動に圧倒されたあとは、柴石温泉の静かなお湯でほっとひと息。動と静、両方を味わえるのが、柴石エリアならではの贅沢な過ごし方です。
さらに足をのばせば、湯けむり情緒あふれる鉄輪温泉もすぐそば。鉄輪でむし湯や地獄蒸しを楽しんでから、その奥の柴石でゆっくり締めくくる——という“山あいの湯めぐり”もおすすめです。にぎわいと静けさ、両方の鉄輪・柴石を一日で味わえば、別府の奥行きをぐっと深く感じられます。
→ 地獄めぐりの回り方はこちら 地獄めぐりガイド
アクセス——柴石温泉への行き方
柴石温泉は山あいにあるため、鉄輪温泉や地獄めぐりとセットで訪れるのがおすすめです。
- バス:JR別府駅から鉄輪方面のバスで向かい、柴石温泉方面のバスに乗り継ぎます。本数が限られるので、事前に時刻を確認しておくと安心です。
- 車:鉄輪・地獄めぐりエリアから山道を少し上ったところにあります。駐車場が整っているので、車だと安心して訪れられます。
- セットで:血の池地獄・龍巻地獄のすぐ近くなので、地獄めぐりの締めくくりに立ち寄るのが効率的です。
→ 車なしでの回り方はこちら 車なしで楽しむ別府ガイド
立ち寄りのコツ——柴石を気持ちよく楽しむために
山あいの秘湯ゆえ、いくつか知っておくと安心なことがあります。
まず、お湯はあつ湯がなかなかの熱さ。蒸し湯でしっかり汗をかいてから、ぬるめの露天でクールダウン——という順番で入ると、心地よく楽しめます。日中に清掃のための休止時間が設けられているので、その時間帯は避けて訪れましょう。バスは本数が限られるため、車での訪問か、地獄めぐりとセットでの計画がおすすめです。タオルや石けんは持参が基本。静かな地元の湯なので、ゆったりした心持ちで、地元の方への気づかいも忘れずに楽しみたいですね。鉄輪や地獄めぐりとあわせて、午後の遅い時間にゆっくり立ち寄り、夕暮れの渓谷を眺めながら締めくくる——そんなプランもおすすめです。
こんな人におすすめ
- 観光地の喧騒を離れ、静かにお湯と向き合いたい人
- 内湯・露天・蒸し湯まで、一か所でいろいろな湯を楽しみたい人
- 血の池地獄・龍巻地獄とあわせて、効率よく回りたい人
- “本物の湯治気分”や、地元との触れ合いを味わいたい人
おわりに——静けさのなかに、千年の湯
天皇が癒しを求めた千年の歴史、渓谷に抱かれた静けさ、そして蒸し湯まで楽しめる充実のお湯。柴石温泉は、にぎやかな別府の“もうひとつの顔”を見せてくれる、奥ゆかしい名湯です。
地獄めぐりで地球の迫力に驚いたあと、ここでそっと心と体をほどく――。そんな緩急のある一日は、きっと忘れられない思い出になります。喧騒を離れたくなったら、ぜひ柴石へ。一度この静けさを知ってしまうと、にぎやかな別府のなかに、こんな“隠れ家”があったのかと、きっとうれしくなるはずです。
柴石温泉は、別府八湯のなかでも、もっとも“湯治”という言葉が似合う湯どころです。観光のためだけでなく、体と心を休めるために、人々が千年以上にわたって訪れ続けてきた——その積み重ねが、この静かな渓谷には染み込んでいます。あつ湯で体を目覚めさせ、蒸し湯で汗を流し、ぬるい露天で渓谷を眺める。ただそれだけのことが、こんなにも贅沢に感じられる場所は、そう多くありません。
迷わない別府旅を、ゆけむり手帖と一緒に。
→ 次はどのエリアへ? 別府八湯完全ガイド
※本記事の歴史・施設情報は、別府市および各施設の公表情報をもとにしています。料金・営業時間・休業日・泉質などは変更される場合がありますので、お出かけ前に各施設の最新情報を必ずご確認ください。温泉の感じ方には個人差があり、効能を保証するものではありません。体調に合わせて、無理のない範囲でお楽しみください。
「絶景」「静かに」「家族で」——好みに合わせて、あなたにぴったりの別府の湯を診断できます。 → 温泉を診断する
この記事のエリアに泊まるなら
上人ヶ浜に立つ、海と一体になるような露天風呂が名物のリゾート(旧・潮騒の宿 晴海)。部屋の湯船から別府湾を眺められ、海浜砂湯まで歩いてすぐ。静かに過ごしたい二人旅におすすめです。
広告(アフィリエイト)を含みますよくある質問 Q&A
柴石温泉はどんな温泉地?
別府八湯のひとつで、山あいの柴石川沿いにある静かな“秘湯”です。平安時代に醍醐天皇・後冷泉天皇が湯治したと伝わる歴史ある温泉で、鉄輪・明礬とともに国民保養温泉地に指定されています。血の池地獄・龍巻地獄のすぐ近くにあります。
市営「柴石温泉」では何が楽しめる?
温度の違うあつ湯・ぬる湯の内湯に加え、ぬるめの露天風呂、別府ならではの蒸し湯まで、追加料金なしで楽しめます。バリアフリーの貸切「家族湯」もあり、源泉かけ流しのお湯をリーズナブルに堪能できます。
蒸し湯はどんな感じ?
床に竹を敷き、その下を約80℃の源泉が流れる本格的な蒸し湯です。入るとすぐ全身から汗が噴き出すほどの熱気で、蒸し湯のあとはぬるめの露天でクールダウンするのがおすすめの入り方です。
地獄めぐりと一緒に回れる?
はい。柴石温泉のすぐ近くに、赤い熱泥の「血の池地獄」と間欠泉の「龍巻地獄」があります。“観る”地獄で地球の迫力を感じたあと、柴石の静かな湯でひと息——という流れがおすすめです。
柴石温泉へのアクセスは?
JR別府駅から鉄輪方面のバスを経由して向かいます。バスの本数が限られるため、車での訪問か、地獄めぐりとセットでの計画がおすすめ。鉄輪・地獄エリアから山道を少し上ったところにあり、駐車場も整っています。
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